「ねえわたし、あなたがとってもとってもすきよ!だいすき!あいしてる!死ぬほど殺したいほどとにかくとにかくだあいすきなの!」
あ、はっぴーにゅーいやーと言う前に彼女は両手を広げてそう叫び、俺は苦笑いをして彼女を出迎えた。
彼女の手にはクリスマスにあげた手袋、首には去年のクリスマスにあげたマフラー、そして頭には俺とデートした時に買ったニット帽だ。よく似合うよ、と言ったら彼女はそれをすぐにレジに持って行った。買ってあげるよと言ったけれども彼女は首を横に振った。たまに彼女は強情になる。
「あなたが大好きだから、今年一番にあなたに会いたかったの」
だろうね、今は12時ぴったりで、やっと「来年」になったところだもんね。俺はにっこり笑って彼女を扉の中に入れた。ああ。いつものジャージ姿でなくて、良かった。(今日は夜遅くまで起きているつもりだったからね)
彼女がこたつに入ると俺はホットミルクを出してやる。コーヒーも紅茶も飲めない彼女はいつもこれなのだ。
「ありがとう」
にっこり笑う君を見て、俺も彼女に今年一番に会えて良かったなと思った。熱いミルクを冷ましながら飲む彼女はとてもとても可愛らしい。
「寒かっただろう?」
「うん、すごく。でもね、あなたに会いたかったから、そんなの全然良かったの。それに今はあったかいから大丈夫よ」
首を軽く傾げて彼女は微笑む。俺は思わずそんな彼女の頭をくしゃりとしてやる。ついでに忘れたままだった帽子もとってあげる。
こたつは狭いけれど二人ぐらいだったら入れる。膝の上に彼女を乗せて俺たちは今年初めのテレビを見ていた。面白くも何ともなかったけれど、彼女が真面目に見ているので何も言わなかった。
「面白くないわ」
「切ろうか」
「そして寝ましょう」
俺の方をぐるりと向いて彼女はいたずらっぽく笑う。全部分かっているくせにこういう言い方をする彼女は本当に意地が悪い。でも俺はそれでもいいと思ってしまう。
彼女は俺にきゅうとしがみつく。
「今年初めてのあなたの背中を確かめたいの」
「そうかい」
「あったかい。心臓の音がする。嬉しい」
あったかい。心臓の音がする。嬉しい。それは俺も同じだよ。
「大好き」
もう、そう本当に本当に笑って彼女は俺にキスをした。今年初めて胸がいっぱいになった。
「殺したいぐらい大好き」
俺も。俺も君に、殺されたいぐらい大好き。
「ねえ後で神社へ行こうね。そんでおみくじ引いてちゅーしましょ?」
神様の見ている前でそんなこと罰あたりだけれど、それでも神様よりも彼女の方が幾分か大事な俺はにっこり笑って頷く。
昔は外でキスだなんて考えられなかったのに今では大分彼女に毒されたみたいだ。
でも、ああ、それでも、ああ、いいのさ!




いつかぜんぶ


もっていかれる


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可愛そうな彼氏と暴走彼女の物語。あ、はっぴーにゅーいやーえぶりわん。
幸せならなんでもいいよね。
タイトルは「repla」さまから。








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