「ねえ、卒業しても一緒にいてね」
君は笑う。無邪気な笑顔で君は言う。
「ああ、もちろんだ」
ボクも笑う。君とは違う少し固い笑顔で言う。
君の左手は冷たくボクの右手は温かい。君は冷え症だから、いつかボクが治してあげる。そう言うと君はありがとうと笑う。その笑顔がボクは好き過ぎるんだ。
君の髪の毛に空いている左手で触る。君は驚きボクの顔を見る。
「どうしたの椿?髪の毛に何かついていた?」
「ああ」
ボクは平気な顔で嘘を吐く。本当はただ君の髪の毛に触れていたかっただけなのに。君はそんなボクにも、ありがとうと笑ってくれる。
ごめんね酷い彼氏で。でも君はいつだって笑って許してくれるから、いいんだよね?

「なあに、佐介君」
名前を呼ぶと名前で返してくれる君が好きだ。君の声で紡がれたボクの名前はなんて素敵に広がるんだろう。まるで宝石の名前みたいに。
は、大学の準備は済んだか?」
「うーん。まだまだ。住む場所もまだ決まってないし」
そう言えば、たまたまだけど佐助の大学と近くの大学になっちゃったね。にししと笑う君にボクは罪悪感で少し笑う。たまたまなんかじゃない。ボクがそう選んだだけ。本当は一緒の大学に行きたいぐらいだった。でも君は音楽の勉強がしたくて、ボクは医者にならなくちゃいけないから。
「なあ。ボクも大学に入ったら家を出るつもりなんだ」
「うん。実家からだと遠すぎるもんね。私もそうだし」
「だから、」
ここでボクはいつも息が詰まる。何回言いそびれたことか。でも今日こそは、明日が卒業式の今日こそは。
君の手をぎゅっと握り、君の瞳をじっと見つめ、ボクはぎっと口を閉じ、そして開く。

「ボクと一緒に暮らさないか?」

、と名前を呼ぶと。
彼女は眼をきょとりとさせてボクを見ていた。顔が真っ赤になるのが分かったけれど、でも絶対に譲らなかった。だってこれはずっと前から決めていたことなんだから。だから絶対に譲ったりなんかしない!
、ど、ど、どう、する?」
それなのに声は揺れていてボクは悲しくなる。なんだか泣きそうだ。でもお願い、君の返事を聞くまでは耐えていて!
ふうとの左手が離れ、ボクの頬に触れる。そうして彼女は笑った。にこりととても可愛く笑った。
「いいですよ」
「え?」
「佐介君、あなたと一緒に暮らしましょう」
彼女はそう言ってボクに抱きついていた。
その時に流れたのは、きっと、涙なんかじゃない。
嬉しくて泣いた涙なんかじゃないんだからな!!




世界は約束


溢れていて


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何このバカップル。俺が恥ずかしいわ(#゚Д゚)ゴルァ!!
椿がとんだツンデレでお姉さんびっくりしちゃう。
もうこいつらは大学卒業と同時に結婚とかでいいと思う。できちゃった結婚で。 工エエェェ(´д`)ェェエエ工工
お題は「repla」さまから。

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