※DV的表現が出てきます。不快に思われる方はページを閉じてください。




































夢を見たの。
それは私の隣に誰かがいる夢だった。私はとてもとても笑っていてその人と手をつないで歩いていた。その人の手はとても大きい。椿より大きかったから、私はそれが椿じゃないと思う。でも夢の中ではそんなことどうだってよくて私は微笑む。
隣にいる人にこの間読んだ本の話をする。その人は頷きながら聞いてくれる。私は嬉しくて拙い醜い言葉で話す。その人は笑う。独特の笑い方。それさえも私は好きだと思う。
そう、好き。
私はこの隣にいる人が好き。大好き。大好き過ぎて手を放したくない。でも、いつも離すのは彼の方なのよねほら今だって。
の話し方はガキっぽいな」
「そ、そうかな」
「俺は嫌いだ」
ああ、なんて素晴らしい笑顔でそんなこと言うの。私はどん底と頂点を一度に味わう。その人はそのまま私の髪に手を置き触る。
「髪の毛もぼろぼろ。手入れも出来ない女なんて駄目だな」
「ご、ごめんね」
「かっかっか。今もまた言葉詰まったな」
俺がそれ嫌いだって、前も言ったろう?
にぃっこりと笑顔でそう呟きその人は私の頬を殴る。痛いけれど仕方のないことなので私は我慢する。ごめんね、ごめんね     。私駄目でごめんね。
でも私あなたが好きなのよ。
どんな形でもいいわ、私をそばに置いて。
彼の手は未だ私の頬に触れそれは温かく殴る気配なんて微塵もない。でも今度は頬を鋭い爪でつねる。私は泣く。
「泣くな、みっともない」
とても優しい笑顔でその人は言う。ああそれは暴力を奮った人とは思えないぐらい。
どうして私は彼が好き?
どうして離れられない?
「     」
彼の名を呼び私は目を覚ます。


あれは、誰。
私の隣にいたのは誰。
椿じゃない。椿じゃない。
気付くと震えていて私は泣いている。
涙が止まらない、止まらない、怖い怖い怖い。
怖いから手を噛む。痛い代わりに私は自分がここにいることを思い出す。血が出てもいいの。だって血が出るってことは、私は生きてるってことじゃあない?
大声で泣きながら私はそんなことを繰り返す。誰にも私の言葉は届かない。誰にも、誰にも。
ああでも今は、すごくすごく椿に会いたい。
椿に会って抱きしめてもらいたい。
そうしてあの指先を忘れてしまいたい。



弄ぶ指先




(あの人が弄んだのは髪の毛じゃなくて、)

     
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どうにか昇華させたくてあがいています。頑張ります。
いつだって手を離すのは、離してもいいと思っている方。ずるいよそんなの。
タイトルは「repla」さまから。


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