※黒い暗い話です
 安形HOMO疑惑あり!!


























私が大変意地悪だと思うのはこういう瞬間だ。
椿の頬を手で包み微笑みそれでも隙を許さない。顔はすぐ近くにあるのに。その唇もすぐそばにあるのに。それでも私はちくりとも動かないし微笑みも崩さない。
「椿」
「やめて下さい、先輩」
椿は少し赤い顔でそう言い、目を逸らす。長いまつ毛が私は好き。彼の三白眼の目が私は好き。
「ねえ椿、あなたさえよければ、こういうぎりぎりの関係を変えられるのよ?」
「ボ、ボクは別に何も思っていません」
「かわいい」
私は笑う。椿の目を捕まえて笑う。椿は息を詰まらせ、泣きそうな目で私を見てくる。窓の外にいる鴉がかあと鳴いた。時刻はもう夕暮れで、あと少しすればあの人が帰ってきてしまうだろう。だから椿は泣きそうな顔をしているし、私は微笑んでいる。
あの人に今の光景を見せられたらどんなにいいだろう?
「椿、椿はあの人が好き?」
「す、好き、とか、そう言う前に、尊敬しているんです」
「だから私に手を出せないの?」
椿は黙る。顔が赤い。空が赤い。部屋が赤い。私は白い。椿の手がかたかたと震えていて私は微笑む。ねえあなたはとても強い力を持っているから、本当は私なんてすぐにぺしゃんこに出来るのよ。それでもそうしないのは、あなたが優しいからなのね?
「椿、私、あなたが好きよ」
椿の顔がさあっと赤くなる。もっともっと赤くなる。
私はもっともっと呪いの言葉を紡ぐ。
「好き、大好き。あなたのかわいいところや、まっすぐなところ、そして、優しいところが好き」
、先輩」
震える声で震える手で椿は私の肩をそっと掴む。その手が汗ばんでいて私はくすりと笑う。かわいい、本当に初心で何もわからないかわいい子。
だから私は椿を呪う。
椿がかわいくて、まっすぐで、優しいから、あの人はあんなにも椿のことを思うのだ。
私はあの人が好きなのに。愛しているのに。それなのにどうしてどうしてどうしてどうして椿なの。
椿、呪うわ。あなたを呪うわ。
あなたが私を好きなこと知っているから、私はあなたをこうして呪うの。
その結果椿が壊れても、構いやしない。(それを私は望んでいるの、かしら?)
「でもね、椿」
私は本当に一番の笑顔を見せてあげる。
でも椿の手をそっと外してあげる。
そして椿から離れてあげる。
「私が本当に愛しているのはあの人だけなの」
だから、あんたなんて私の目には映らない。
そう言い捨てて、私は椿から目を離しその場を立ち去る。あの人に会うために。
椿は泣いただろうか。悲しんだだろうか。思い切り苦しめばいい。
だって、一番苦しんでいるのは私なのだから。




一分の隙をちらつかせ



(最後に呪いの言葉を吐いた時、彼女の目が少し悲しくなったのは気のせいだろうか?)


-------------------------------------------------------------------------
ごめん。最初思ったのと全然違う話になってしまった。
さんの思い人は多分安形。まさかの安形HOMO疑惑。
もうさんこのまま椿とくっついちゃえよ。でも好きな人をそうころころ変えられない恋心の悲しさよ。
病んでるとかそういうレベルじゃないヒロインを書けるにまでなってしまった気がする。
お題は「repla」さまから。





inserted by FC2 system